令和の日本型教育とは37

皆さんこんにちは。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。

この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。

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本日は第4部「新時代の特別支援教育の在り方について」各論の3「特別支援教育を担う教師の専門性向上」の続きを読んでいきます。

答申ではまず「学校内外の専門家と連携しながら」と述べています。専門家と連携するためには、専門家と連携する方法や専門用語を知っていたり、専門家とのパイプを持っていることが必要です。後者については個人でのつながりには限界がありますから、教委等がまとめて仲介できるといいですね。

と申し上げると、教委の雑務が増えて大変だ!ということになるのですが、今後はこの「コーディネートする」役割の人が重要で、それは専門的に独立している必要があると思います。何かの業務のついでになんとなくこの人がやっている、というのではなく、きちんと勉強したコーディネーターがいれば、人と人とのマッチングがスムーズにいきますね。専門家と先生、児童生徒のマッチングはとても重要です。人間ですから「合う・合わない」はどうしてもあります。合わない場合、全員不幸になりかねませんから、合う人を探し、マッチングした人がちゃんと評価される仕組みが必要です。

答申は、「複数の障害を重複していることを踏まえた対応が必要」と言っています。取りあげられているのは盲ろう障害です。最も適切な教育が行われるべきことが求められていますが、指導事例の収集や支援のポイントの整理を進めるなど、やることは山積みです。日本全国の知見を集めて、よりより教育ができるといいですね。盲ろうに限らず、重複障害は自治体単位では事例が少ない傾向にあり、全国的な包括が求められます。

これらをすすめるために、広域で研修の仕組みや人事交流を可能とする仕組みの構築が必要、と述べられています。養成段階でのコアカリキュラムの策定も述べられています。

さらに、特別支援学校の教員の専門性を保障する観点から 特別支援学校教諭免許状の保有率を高めることは重要な課題である、とあります。概ねすべての特別支援学校の教員が免許状を取得することを目指して取り組むことが必要である、ということです。では現状は? と思って調べてみたところ、現在大体85%ということがわかりました。

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特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果の概要(令和2年度)調査結果の概要 P2より引用 2022年2月9日閲覧

この15年でだいぶん改善が進んでいることがわかります。免許状を所有しているということは、ちゃんとその勉強をして単位が認定されているわけですから、専門的な知識を持っているということが言えますね。私の学生時代の友人たちも多く特別支援学校教諭等免許状を所有していますが、授業の内容や実習の内容などとても専門的で高度でした。

答申では、国の役割として、

  • 優れた取り組み事例の収集・情報提供
  • 免許状保有率の低い地方公共団体との意見交換・取得促進への取り組みを促す
  • 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所による免許法認定通信教育を継続的に実施
  • 免許法認定通信教育の実施主体の拡大について検討

などを述べています。

次回は第4部「新時代の特別支援教育の在り方について」各論の4関係機関の連携強化による切れ目ない支援の充実を読んでいきます。

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