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最も大切な「授業」のために何ができるか

話者:2020年入社 F.A.
取材:2022年9月


教育情報化ブログで「HBIのお仕事」を連載中のF.A.さんは、もともと教職員として中学校で教鞭をとっていました。ライフステージが変わる中で教育に関わり続けるためにどうすべきかの試行錯誤を経て、現在は時差のある海外でテレワークをしています。授業の現場を充実させるためにはどうすれば良いか。現状の課題を知るからこその支援を続けています。

正規の先生ほど「授業」に集中できない

どのような経緯があってハイパーブレインに入社されたのでしょうか。

私はある自治体で、中学校の教諭として勤務していました。その後別の自治体で常勤講師になり、そこでも中学校の教員として3年間働き、2020年4月にハイパーブレインに入社しました。

教諭から常勤講師になった理由は何だったのでしょうか。

学校の教員は、授業以外にもさまざまな校務を処理する必要があります。具体的には会計の管理や親交会の幹事、部活の顧問などです。これらの対応は主に教諭が行うことになっているため、教諭は常勤講師よりも雑多な業務が増えがちになります。私の場合は特に部活の顧問の負荷が高く、月に1日休めるかどうか、という状況でした。児童生徒と過ごす最も大切な時間である「授業」に向き合う時間すらままならない中で、この働き方を続けるのは無理だと感じて常勤講師になりました。

自治体や学校にもよりますが、常勤講師は教諭ほどは雑務に追われずに済みます。それで授業に集中しやすくはなったのですが、これは構造の問題であり、一人の教員が現場で頑張って解決できるものではないと考えるようになりました。それで、教育現場をICTで支援する仕事に就くことにしました。

続けるのは難しい、でも「教育の現場から離れたい」わけではない

教育の現場にある課題は、ICT支援で解決できるものだったのでしょうか。

教育現場には雑多で非効率な校務がたくさんあります。一つ一つは小さな仕事ですが、それが積み重なって大きな負担になっており、それを教員が個人の頑張りでなんとかこなしている状況です。それらの中でも、成績の処理や書類の管理などはICTで効率化できます。私は入社後に校務支援グループに所属し、「校務支援システム」のサポート業務に就きました。

校務支援グループは、校務支援システムを使う上での困りごとや便利な機能などを電話で案内したり、使い方を現場でレクチャーしたりする業務です。どこの現場でも似たような課題があり、現場の先生たちは共通の悩みを持っていました。校務支援システムで先生たちの負担を軽くできるよう、自分自身の経験を生かしてサポートをしていました。

コロナ禍中の海外移住、テレワークで教育を支援し続ける

現場経験を生かした校務支援システムのサポートをしていた中で、国外でテレワークをすることになった経緯をお聞かせください。

入社半年後、コロナ禍中に家族の海外転勤が決まったのが大きなきっかけです。その時は、働き続けることをほとんど諦めましたが、上司に相談したところテレワークでの勤務を打診され、社長も快諾してくれたため、移住先でも働く手段を整備していただけることになりました。

ハイパーブレインはコロナ禍前からテレワークを導入していましたし、たしかにテレワークは「働く場所を問わない」ものですね。

それでも時差があったり、移住先のロックダウンや家族の会社の方針変更などで生活環境が目まぐるしく変わったりする中で、どう働き続けるかを定めるのは大変でした。総務部や情報システム部技術支援課に制度を整えていただき、現在はパートタイマーとして教育DX推進部広報室に所属し、教育情報化ブログを発信しています。

週に2日、こちらの生活時間と日本時間の時計に合わせての稼働なので時短勤務になりますが、広報室はもともとチャットで情報共有する文化があり、自分がいない間の相談事や仕事の進捗もログを遡れるため、チームから取り残されている感覚はありません。

先生が先生らしくあれる環境を整えたい

ライフステージに合わせて働き方を変えながら、教育に関わり続けることも可能なのですね。教育の現場とは対照的に見えます。

仕事というと、どうしても「既存の働き方に人の方が合わせて頑張り、それが難しくなったら辞める」のが当たり前だと思いがちです。でも、それで先生たちが教育の現場から離れざるを得なくなっているなら、それは既存の環境のほうを見直すべきです。ICTの活用で教育現場に山積みの課題を効率化し、先生たちが授業に集中できる環境を整えて、先生が先生らしくあれるような現場にしたいと考えています。

先生が先生らしくあれる環境を作るために、現在考えていることはありますか?

教員経験者と働きたいです。自分自身の経験から現場の課題を感じてはいますが、同じような経験をした方と話せば、また問題の見え方が変わると思うので。それで、私自身が「学校に戻りたい、また先生をやりたい」と思えるような現場ができたらいい、と考えています。



取材・記事作成:studioKOKS