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「枯れた技術と最新技術で学校現場を支える」
教育ICT最前線の面白さ

話者:2014年入社 S.Y.
取材:2025年1月


Sさんは、ハイパーブレインの開発エンジニアとして、ユーザーサポートとサービス開発の両面から教育現場のICT支援をしています。現場の課題に向き合い、高度な安全性を守りながら時代に合わせた学びを実現するために必要なものや、教育ICT開発の最前線で働く面白さについて、お話を伺いました。

技術支援×開発の両輪で教育現場に寄り添う技術のプロ

現在の所属部署と担当業務をお聞かせください

私は情報システム部の部長をしています。情報システム部は、社内外の技術対応を一手に引き受ける部門として、技術支援と開発の2つの役割を担っています。

「技術支援課」では、インフラやネットワークの構築、機器の導入・運用支援などをしています。学校のネットワーク環境を整えたり、自治体向けのシステム導入を支援したりするのが主な仕事です。営業に同行して技術的な提案をすることも、導入後のサポートもあります。また、社内ヘルプデスクを支援することもあります。

「開発室」では、教育向けのWebサービスやソフトウェアの開発をしています。教育情報連携システム「d+tas」、教育現場向けのチャットボット「EQ.bot」、授業の実践事例を共有するWebサービス「SmileHub」などはすべて、我々で内製したプロダクトです。これらの新しいサービスを企画・開発する業務もあれば、既存のサービスを保守・改善して使いやすくする業務もあります。

具体的には、どんなお仕事をしているのでしょうか?

大きくは「教育現場で本当に役立つICTは何か」を考えて、それを実現する仕事です。

たとえば技術支援課では、学校に新しいシステムを導入する際に「全員が安全に、便利に利用できる仕組みは何なのか」を考えながら技術的な仕様を提案します。その後はサーバーの導入、ネットワークの構築、端末の設定など、実際の学校環境に合わせた調整をしていきます。
現場のニーズを正しく把握するために、自治体の担当者と調整することもあります。自治体の担当者は、ICTの専門家であるとは限りません。国の方針として新しいICT導入が求められても、その指示を具体的な施策に落とし込むのは難しく、学校や自治体がすぐに対応できるわけではありません。
そこで我々は指示の意図を説明し、その上で無理なく学校に導入できる仕組みをご提案します。技術だけでなく、「現場と調整しながら実現する」ことが、この仕事の大切な部分です。

開発室では、先述した教育向けWebサービスやソフトウェアを自社内で開発しています。学校現場にはまだアナログな業務が多く、先生たちの負担も大きい。そういう部分を効率化して、先生たちが本来の業務に集中できるようにすることを目指しています。
教育ICTの仕事は、ただ最新のトレンドを追うだけでも、ひたすら安定性を求めるだけでもいけません。全体的な傾向としては、すでに実績があり、安定性や安全性が確立されている「枯れた技術」が好まれますが、生成AIの技術やゼロトラストセキュリティの概念などは、枯れるのを待っているわけにはいきません。枯れた技術の良さを活かしつつ、新しい技術を導入する方法を考える必要があります。そこが面白いところでもあります。

「納品して終わり」ではない、ユーザーと共に作り上げる面白さ

現在のお仕事の、どんなところを「楽しい」と思われますか?

「フィードバックが速い」のは、この仕事ならではの楽しさだと思います。
私はハイパーブレインに入社する前、PCインストラクターやフリーランスのエンジニアをしていました。それらと比較して、教育分野のエンジニアリングは、自分が作ったものがすぐに現場で使われるやりがいが強いです。
教職員の方や自治体の方からいただいた課題をもとにアイデアを出し、形にして、それが実際に役立っているのを感じられるのは、やはり嬉しいです。「ここが良かった」「ここをもっとこうしてほしい」といった声と、実際の運用を見ながら改善を繰り返して、より良いものを現場と一緒に作り上げていく。「納品して終わり」ではないところを、とても「良いな」と思います。

教育ICTサービスの開発という仕事を楽しめる人のスキルやマインドセットについては、どのように思われますか?

一般的なエンジニアの傾向ではありますが、「ICTに興味がある人」や「新しい技術が出たらとりあえず触って、試してみる人」であれば楽しめると思います。また、作ったサービスが「役に立っている実感」を得たい人にも向いていると思います。特に、学校教育に興味のある方や、教職員の現場を手伝いたい思いのある方にとっては、自分の制作物がすぐ学校の役に立つ喜びを得られる環境です。
それから、コミュニケーションが苦にならないことも重要です。技術支援課は自治体の担当者や営業さんと、開発室では教職員の方や教育関係者の方と調整しながらシステムを作っています。相手の求めていることを理解し、それを技術で形にするのを楽しめることは重要だと思います。

技術と教育がうまくかみ合えば、子どもたちにもっといい環境を作れる

今後の展望についてお聞かせください

組織の話をすると、会社全体がより良いサイクルで回る仕組みを作り続けたいと考えています。他部署も含めた全社的な仕組みの改善を通して、学校現場への支援をもっとスムーズに進められるようにしたいです。
私自身、子どもがいるので、学校のICT活用がどう変わっていくかにも関心があります。自分の仕事が間接的にでも、子どもたちの学びの環境を良くすることにつながれば嬉しいですね。そのためにも、ただ新しいものを導入するのではなく、学校現場や教育市場に合った形で生かしていくご提案をしていきたいです。
ただし、新しい技術を教育市場にフィットさせていく挑戦も大切です。「技術が教育の役に立つ形」をしっかり考えながら、教職員の方や保護者の方、児童生徒にとって本当に必要な、今より良い仕組みを作っていきたいと思っています。ハイパーブレインの理念である「教育の情報化に貢献する」を、技術を通して進めていきたいと考えています。



取材・記事作成:studioKOKS