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「教育業界外からの入社でも、活かせることがたくさんあった」ITエンジニアからの転身で得た手ごたえ

話者:2011年入社 S.A.
取材:2024年12月


SさんはIT業界からハイパーブレインに転職した、元ソフトウェアエンジニア。現在は自治体のICT環境を整えるお手伝いをしています。

本当に役に立つ、実現可能なICT環境のご提案

現在はどのような業務を担当されていますか。

現在は「初中等教育支援部」に所属し、主にA市やB市といった自治体の教育委員会を担当しています。教育ICTに関する国の方針と学校現場の課題・要望をつなげ、バランスを取りながら「実現可能で、本当に役に立つ環境」の提案や構築のサポートをしています。

具体的には、どのようなコミュニケーションをするのでしょうか?

たとえば、学校現場から教育委員会に集約された情報をヒアリングし、こちらからは国の施策の意図をご説明します。そこで見えた課題と国の方針をすり合わせて、実態に即したご提案をしています。

最近では、いわゆる『セカンドGIGA』と呼ばれる、GIGAスクール構想の端末更新やICT環境の再整備への対応が増えています。数年前、コロナ禍をきっかけに前倒しで進んだ「GIGAスクール構想」では、各教育委員会が整備するスピード優先で動いて端末を調達していました。今回のセカンドGIGAでは国の補助金の適用範囲が変更され、共同調達などコスト削減につながる新たな調達方法が推奨されるようになりました。現場でこれまで構築・運用してきたノウハウがあります。それらをすり合わせて現場に負荷のない移行のための準備をお手伝いし、時代やニーズに合わせたソリューションをご紹介して、学校現場の先生方が本来の仕事に集中できるお手伝いをしています。

「できることはたくさんありそうだ」で入社を決意

教育ICT支援、という業種である以上、教員経験者の方が中心かと思っていたのですが、Sさんのように別分野から転職してきた方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?

たしかに「教育現場の課題を感じていた元教員」という人材は多いです。ただ、元ホテルマンや他業種の営業職出身の方など、教育とは無関係なバックグラウンドの人も活躍しています。 

私はもともとIT系の専門学校でプログラミングを学び、卒業後もソフトウェア開発会社に勤めていました。なので、完全にエンジニアとしてキャリアスタートしています。その後、地元の岐阜に戻り、そこで県の雇用促進事業に応募して、ハイパーブレインにOJTとして参加しました。学校に行ってパソコン室の定期点検をしたり、校務支援システムという初めてのシステムに触れたり、トラブル対応をしたりと、教育現場で利用するICTがこんな風になっているのかと驚くことばかりでした。その中で、先生方がICTの活用に困っていること、ICTを使えばもっと効率的にできる作業があることなどに気づきました。

自分がそれまで学んできた知識や獲得してきたスキルで教員のみなさんをお手伝いして、それで「楽になった、ありがとう」と喜んでもらえるのが嬉しくて、「こんな形で人の役に立てるのか」と実感できたのです。できることはたくさんありそうだと感じ、ここで教育のお手伝いをしたいと考えて、入社を決めました。

エンジニアとしての経験が活かせている、ということですね。教育ICTという分野で働くには、どのようなスキルやマインドセットが必要だと思いますか?

そうですね。学校現場ならではの課題には、他業界の知識からもアプローチできるものだな、と感じています。
もちろん教育業界ならではのルールや制限はあるので、それは学習する必要があります。そういった、新しい知識の吸収に意欲的な人であれば、この仕事は楽しいと思います。

たとえばコロナ禍中には、テレワークやリモート授業の需要が増加しました。単に「遠隔地からつながる」だけであれば、やり方はいくつもありますが、その中で「本当に役に立つ仕組み」を構築するには、どのような状況で、どのように使いたいのかなどを踏まえる必要があります。
人とのコミュニケーションに抵抗がないこと、問題の切り分けをして、アプローチ方法を考えられること、それを楽しいと思えること……など、エンジニアらしいマインドセットは活かせます。
ただ、何よりも大切なのは、教員の方たちと信頼関係を結べることだと思います。

「学校現場だけが遅れている」にならないように、ICT活用が当たり前の環境を整えたい

今後の展望についてお聞かせください

高校で「情報Ⅰ」の授業が必修化され、いま高校で情報を学んでいる方たちは、あと数年で「デジタルネイティブ世代の教員」として現場に来ます。ご家庭や子どもたちがICTに親しむ中、自治体や学校だけがICT活用で遅れている状況です。教育の現場や校務の進め方にICT環境が追い付かず、非効率なアナログ作業しかできないままでは、児童生徒の学習ニーズにも、若い教員の意欲にも応えられません。

ただし、ただ闇雲に最新技術を入れるだけでもいけません。特に教育現場では、個人情報などの機密性が高い情報も扱います。セキュリティと直感的な使いやすさを両立して「これは便利だ」「これなら使えそうだ」と思っていただけるような提案が必要です。教育現場にいる方が手ごたえを感じられるようなご提案やサポートを続けて、先生たちがもっと楽になり、子どもたちの学びが豊かになる……そんな環境を作っていきたいと考えています。



取材・記事作成:studioKOKS