令和の日本型教育とは38

皆さんこんにちは。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。

この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。

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本日は第4部「新時代の特別支援教育の在り方について」各論の4「関係機関の連携強化による切れ目ない支援の充実」を読んでいきます。

答申で言っていることは、「やらなければならない」「やったほうが絶対に良い」ことばかりです。言うのは簡単で、実行するのはとても困難です。ですが、言わなければ永遠に実行されないことばかりなので、いう必要はありますね。

「言うんだったらそれができる環境を」というのは大変ごもっともなことですが、それができる環境、について、明確に言語化し、多くの人を納得させる状況を作る、ということもまた困難なことです。あちこち困難だらけで、では手を付けずにいていいかというとそんなことはなく、待ったなしの対策、実行はどのような分野のどのようなことでも常に叫ばれています。

この各論の4「関係機関の連携強化による切れ目ない支援の充実」も大事で大切でこれをやったほうが絶対に良い、ということはみんな分かっていますが、困難に対する労力がとてもかかるので、なかなか手を付けられないことの一つです。

特別な支援が必要な子どもに対して、幼児教育段階からの一貫した支援を充実させるのはとても必要なことです。そのあとの文言に「保健・医療・福祉・教育部局と家庭との一層の連携や、保護者も含めた情報共有や保護者支援のための具体的な連携体制の整備を進める必要がある」とあります。

関連する人や役所がとてもたくさんあるため、一口に連携を取る、と言っても保健所と病院と役所の担当窓口と、福祉事務所と、教育委員会を結ぶ連絡手段はなかなかありません。電話とFAXならありますが、自治体の個人情報保護条例に則った機微情報を取り扱える連絡手段(たとえば庁内LAN等)については、出先機関などでは引かれていない場合もたくさんあります。それらを何とかなるようにお金をかけずに実現するには、「人力の力技」がよく使われます。こういう運用ルールでやろうよ、ということを担当者同士で徹底する、ということですね。その場合、担当者が異動すると自然消滅することも多いです。力技は面倒で大変ですから。

このように連絡一つにとってもまず越えなければならない壁がたくさんあります。

そこを乗り越えて連携を取っている関係者の皆様には本当に頭が下がります。ありがとうございます。文教の界隈は「先生(あるいは誰か)が頑張って何とかなるなら頑張ってやってもらう。お金? あるわけないだろ」が思想として根底に横たわっています。ですが、お金をかけないと今後の日本の未来は危ういのです。お金は有限ですから、何に重点を置いて、どうしていく、ということは首長の方針です。

それが、教育に振り分けられるためには、首長に「確かに大事なことだ」と理解してもらう必要があり、答申はその一助を担っているといえますね。

就職後の連携も大事ですし、特に医療的ケアが必要な子どもへの対応については、何がどう困難であろうとも少なくとも医療機関と教育機関は絶対に連携が必要です。学校で医療的ケアの重要な役割を担う、学校に置かれる看護師を法令上位置づけることの検討や、中学校区に医療的ケア拠点校を設ける検討を行うべきである、と答申では述べています。

大事なことは、形にしないと認識されませんので、このように答申として形になっています。形になっているものは最大限活用して、より良い教育を実現していきたいですね。

次回は第5部「増加する外国人児童生徒等への教育の在り方について」を読んでいきます。

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