令和の日本型教育とは44

皆さんこんにちは。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。

この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。

本日は第9部「Society5.0 時代における教師及び教職員組織の在り方について」を読んでいきます。

基本的な考え方

教師の在り方、という議論は、いろいろな機会でたくさんされてきています。この答申では、「これから
の学校教育を担う教員の資質能力の向上について」https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1365665.htm
を例示しています。そこで端的にまとめられている資質が

  • 使命感
  • 責任感
  • 教育的愛情
  • 教科や教職に関する専門的知識
  • 実践的指導力
  • 総合的人間力
  • コミュニケーション能力
  • ファシリテーション能力

等ということで、これらを専門的に学び、実践し、経験を持って知識の定着を図る、というような先生の育成が考えられています。それに加えて、

  • 特別支援教育の充実
  • アクティブ・ラーニ ングの視点に立った授業改善
  • ICT を用いた指導法
  • カリキュラム・マネジメント
  • 総合的な学習の時間の指導法
  • 学校体験活動
  • 外国語教育の充実
  • チーム学校への対応
  • 学校安全への対応
  • 学校と地域との連携
  • 道徳教育の充実
  • キャリア教育

についても、教育職員免許法の改正(平成28年)、教育職員免許法施行規則の改正(平成29年)により教職課程に追加され、養成段階からこれらを重視していくことが示されています。
4年間で学びきれるのかな? という充実ぶりですが、先生に求められる資質がとても広がっていることは間違いありません。

答申ではさらに

教師が,時代の変化に対応して求められる資質・能力を身に付けるためには,個々の教師が養成段階に身に付けた知識・技能だけで教職生涯を過ごすのではなく,求められる知識・技能が変わっていくことを意識して,継続的に新しい知識・技能を学び続けていくことが必要である。

とあります。教員に限らず、どのような仕事に就いても生涯学び続けることは必要ですが、どんどんやらなければならないことが増えていますね。教員は公務員ですから、定期昇給以外に給料が変わるとか、ボーナスがどんと上乗せされるとかそういうことはありません。やってもやらなくても給料は変わりませんし、残業代も支払われていません。評価がお金で反映されることがないということですね。

教員の負担が大きいということで、組織としてきちんと取り組んでいかなければならないことも答申は述べています。

教師の ICT活用指導力の向上方策

一番最初に述べられているのは「Society5.0 時代の到来や学校現場における ICT 環境の整備が進んだとしても,教師としての基本的な役割が変わるものではないと考えられる。」ということです。
いくらAIが発達しても、教員の仕事はそれに代替されるものではない、ということですね。ではいつまでもICTなんか使わなくっても大丈夫! というわけではないことも理解されていると思います。答申では「ICT 環境の整備は,児童生徒に対してより良い教育的効果をもたらすもの」という記載があります。わざわざまたここで述べているということは、より良い教育的効果をもたらすと思っていない人が一定数いるということですね。

ICT機器を活用して活動することは子どもたちにとって必要です。新しいメディア、新しいものが出てきたとき大体の場合「こんなんじゃダメ!! 今までのやり方の方が絶対に良い!!!」と言われることは多いですね。これは昔から変わってません。例えば2021年11月に安城市で実施されたケンサチeフェスプレイベントで、愛知教育大学江島教授がお話しされているエピソードが興味深いです。下記YouTube5:08:00くらいから江島先生がお話しされています。

講演の冒頭、先生が出されていたクイズが象徴的です。

  • 子どもの大切な時間を浪費させる
  • 疲れて勉強を怠る
  • 身体の発育に悪い影響を与える
  • 勝負に熱中してあまりに長い時間を費やす等弊害がある
  • 子どもの脳に悪い影響がある
  • 振動が脳に伝わって、脳の作用を遅鈍にさせる
  • 時間を空費し身体を疲労衰弱させるので、勉強ができなくなる

と言われていたものは何でしょう? どれもこれも、ごく最近耳にしたことがあるような内容ではないでしょうか?

実はこれは明治44年に東京朝日新聞に連載された「野球害毒論」で、野球に対して言われた言葉です。当時の中学校校長や、東大医局長、学習院院長から東京高等師範学校教授まで著名人、影響力のある人たちがこぞって「野球なんかやってちゃダメ」と言っています。

では、野球は本当にそのようなものですか? 子どもの発達にとても悪いものですか?

ICT機器の活用の考え方についても、将来振り返った時にこのようなことになってしまうと残念です。ダメな理由はいくらでも考えられますが、どうしてここまでICT機器が(例えばスマホが)普及して、みんなYouTube見ているのか、ということを考えることは必要だと思います。

ですので、答申でも述べられているように「能力の向上に大きな役割を果たしている教員研修等についても,その実施に 当たって, ICT 機器を積極的に用いることやオンラインで実施することも含め,より効果的な実施手法が求められる。」ということを検討しないといけないですね。

特に校長研修等で講演が中心の場合は、積極的にオンラインを活用し、「なんだオンラインで研修するって簡単じゃないか」と管理職が理解することが大切です。行政職の皆様は、そんなの当然だろう、と思う人も多いかと思いますが、学校はそうではないことが多いのです。だからといって頭ごなしに否定しても何も生産性が高まりませんから、うまくやっていく必要があります。

行政職の皆様と、教員の間に立って、うまく調整していくのが教育情報化コーディネーターという役割です。ハイパーブレインでは、教育情報化コーディネーターの取得を積極的に推進しています。心配なこと、どうしたらいいんだろう、ということがありましたらご遠慮なくお問い合わせください。

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投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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