次世代校務DXガイドブック7
皆さんこんにちは。
2025年3月(令和7年3月)に 次世代校務DXガイドブック-都道府県域内全体で取組を進めるために- が公開されました。
サブタイトルにある通り、「都道府県域内全体」での取組が重要である、という認識のもと「学校、首長部局、関連事業者等の幅広い関係者との共通認識を図る」ために使える資料です。行政職の皆様におかれましては、「どうして話が通じないんだ」と困られることもあるでしょう。それを手助けしてくれる資料となりますので、ご一緒に確認していきましょう。
2.次世代校務 DX を実現するために必要な取組
2-2.環境整備を伴う校務 DX の実施
(1)ビジョン・ロードマップの設定
何かを推進するのに、「それじゃあ頑張りましょう!」では大体の人が頑張れません。「この目的のために」「これを実現するために」「こういう道筋で」やっていこう、というものがあってはじめて自分事として捉えられるようになりますね。
それが、ビジョンとロードマップです。
特に、県域で何かをしよう、という時には利害関係が対立することもしばしばです。その際に、声の大きい方が勝つ、という印象を与えてしまってはまとまるものもまとまりません。ですので、ガイドラインでも「都道府県域での教育 DX 全体のビジョンを設定することが何よりも重要」と述べています。
「都道府県域内全体で達成を目指すものであるとともに、今後行うすべての取組がそのビジョンの達成に資するものであるかどうかという判断基準になるもの」
が決まっていれば、そのビジョンを達成できるかどうか、という判断をすることができますね。そのビジョンについては
- 都道府県域内の市町村教育委員会の納得感が得られるもの
- 各教育委員会や学校を含む関係者で十分に共有
が必要だと述べられています。
ビジョンを策定し、達成するには丁寧な情報共有が不可欠です。県教委の担当者だけが主体的に動くのではありません。出来上がったものに「こんなはずでは」と思わないためにも、市町村教委の担当者も主体的に地方の状況を伝え、変えられる点と変えられない点を擦り合わせる必要があります。
おおよそ納得ができれば、あとはロードマップを策定し、実行していく形です。次世代の校務デジタル化推進実証事業(令和5年度実施) では実際のロードマップが公開されていますので参考になさってください。
このガイドラインにも香川県の具体例が紹介されています。中心となって取り組んだ県の担当指導主事は「最も大切にしている「グランドデザインの設定」や「市町と連携した理解深化」といった根本的な取組を取り上げてもらった」ということでした。そこを大事にすることで、物事が進む、というのは香川県の進み方を見ると納得です。
「校務だけでなくより広い全体像を示したことで、「全体最適」を意識しながら域内の理解を得られました。」とあるように、今まで(仕方なく)部分最適を繰り返してきたようなことを、全体的に見てこうしたい、という思いが伝わったのだと思いました。
来週はこの続きを読んでいきます。
投稿者プロフィール

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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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