次世代校務DXガイドブック8
皆さんこんにちは。
2025年3月(令和7年3月)に 次世代校務DXガイドブック-都道府県域内全体で取組を進めるために- が公開されました。
サブタイトルにある通り、「都道府県域内全体」での取組が重要である、という認識のもと「学校、首長部局、関連事業者等の幅広い関係者との共通認識を図る」ために使える資料です。行政職の皆様におかれましては、「どうして話が通じないんだ」と困られることもあるでしょう。それを手助けしてくれる資料となりますので、ご一緒に確認していきましょう。
2.次世代校務 DX を実現するために必要な取組
2-2.環境整備を伴う校務 DX の実施
(2)体制整備
だいたいにおいて、理想を実現するためには現場で泥臭くそれを着実に実行できる人が必要で、それは個人の頑張りではなく、組織として、体制としてきちんと整備しないと無理である。
ということについては、特に地方行政に関わっている方には切実な問題だと思います。小さな自治体で、1人指導主事体制、あるいは指導主事も配備できない、ということもあるでしょう。喫緊の課題は山積みで、それの対応を後回しにして未来を考えること、というのはほぼ不可能ですね。
ですので、体制を整備するということは非常に重要です。そして、このガイドブックでは、
- 都道府県教育委員会と域内市町村教育委員会が集まり、検討、調整、意思決定等ができる連携体制
- 各教育委員会においても、部署や組織を超えた連携
が必要であるとのべています。
まず、県域でみんな連携しましょうよ、ということと、各自治体の首長部局とも連携をしましょう、ということですね。
前者は想像がつくのですが、後者を実行しようとすると、何をどうしていいかわからない、という指導主事の先生がいらっしゃるかもしれませんね。
そういうときこそ、教育行政職の皆さんの出番です。異動で教育委員会に来られた方は、庁内にネットワークがあるはずです。それを活かして、ぜひとも連携してください。校舎の建て替えの時には建築部局だけではなく、教育委員会も積極的に関わらないと、「役所ではこれでいいと思っていた」というようなことが「子どもも一人一台タブレットを持っている時代にその電源数で足りるか?」というような初歩的なことが後々発覚する、ということは枚挙に暇がありません。
そんなことはとっくにやってるよ、という自治体も多くおありでしょう。ですので、そういう連携をどんどんやっていけばいいのです。教育情報セキュリティポリシーを策定するにあたり、情報システム部と連携する、認証システムは役所で取り入れているものが使えないか検討する、できそうならその主管課と連携する、などなど。ちょっと声をかければうまくいきそうなものが多く考えられます。
更にガイドラインでは
教育長会議、各種研究会、事務担当者の会議、校長会、教育委員会と首長部局が同じ場に出席する会議等を活用して、関係者からの意見収集や、様々な立場からの働きかけを行うことも重要
だと、かなり踏み込んだことも書いています。
これは、例えば、校長会では「そんなもん導入できるわけないだろう!」に終始していた議論が、首長部局にとっては「何言ってんだ?」ということである、とお互いが気付くことが重要である、ということを言っているわけですね。
長年教員の間で当然とされてきた「休憩時間? とれるわけないだろう」について、それはおかしい、と声をあげる人が出てきているからこそ、教員の労働環境が改善されていくわけです。そのためには、休憩時間が取れないことの周知とそれがおかしいという価値観の出会いが必要です。
同じような価値観の人たちで集まってばかりいると、おかしなことに気づけないというのはしばしば指摘されることです。
様々な連携で、「え! そうだったの! そんなことできるの!」の気づきがたくさんあればあるほど、様々な物事は活性化されるのではないでしょうか。
ガイドブックでも紹介されている
デジタル改革共創プラットフォーム https://www.digital.go.jp/get-involved/co-creation-platform#participation は、「自治体職員であれば誰でも参加」することができる、「ビジネスチャットツールを活用した「直接対話型」のコミュニケーションプラットフォーム」ですから、席に居ながらにして他の自治体の職員と会話することができる非常に便利なツールです。
このようなものも積極的に活用し、「今まで見てきたものとは違う」世界を知ることは、物事の打開に重要なのではないでしょうか。
だからこそ、体制整備で苦労した先人の話や、こんないいことがあった、などを直接知り、モチベーションにもつなげられるのではないかと感じます。
来週はこの続きを読んでいきます。
投稿者プロフィール

-
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
最新の投稿
HBI通信2025年7月7日次世代校務DXガイドブック11
HBI通信2025年6月30日次世代校務DXガイドブック10
HBI通信2025年6月23日次世代校務DXガイドブック9
HBI通信2025年6月16日次世代校務DXガイドブック8