調達が決まった今こそ考えたいこと ― GIGA第2期を「進化」にするために
はじめに
調達は、大きな仕事です。しかも、今回は初めて「県域での調達」という今までにない調整に次ぐ調整が必要な調達でした。
検討を重ね、関係者と調整し、やりたいことをやろうとしてもなかなか希望通りに行かず、都道府県内の自治体の意向が少しずつ反映され、ようやく形になったGIGA第2期の端末。
ほっとされている気持ちと同時に、「ここからどう進めるのか」という問いに向き合っておられる方もいらっしゃるでしょう。
更新は終点ではありません。ここからの設計次第で、同じ端末でも教育の姿は変わります。まだまだ変えられます。
調達が終わり、端末の配布が始まるであろうタイミングの今(そして年度更新の前)だからこそ、考えておきたいことがあります。
更新は「買い替え」ではなく「設計の再確認」
GIGA第1期では、多くの自治体が手探りで環境整備を進めました。コロナ禍が重なり、本当にご苦労なさったことだと思います。今までにまったくなかった大規模な調達で端末を配備し、ネットワークを整え、アカウントを発行し、活用を広げていらしたこと、頭が下がります。
そして、手探りであったからこそその過程で見えてきたことも多かったはずです。少し考えただけでも
- 活用が進む学校と、そうでない学校の差
- 支援体制の負荷
- データの扱い方の難しさ
- 異動による引き継ぎの課題
などの課題が出てきます。GIGA第2期は、その経験を踏まえた「再設計」の機会です。
端末の仕様は既に決まっていても、どう使い、どう支え、どう残すかは、これから決められます。
① 研修の設計は、これからでも変えられる
更新時の研修は、多くの場合「操作説明」が中心になります。特に端末の種類が変更になる自治体は、そもそもの使い方研修はもちろん、新たに入るソフトウェアも多く、まずは操作を覚えていただく必要があるでしょう。端末の種類が変わらなくても、インターフェースが変わる、新しいソフトウェアが入る、ということもあり、操作研修も必要だとは思います。しかし、活用が広がるかどうかは、その先にあります。
- 授業のどの場面で使うのか
- 子どもたちの学びはどう変わるのか
- 管理職は何を支えるべきか
こうした問いを含んだ研修設計は、今からでも可能です。次年度の研修計画を立てる大詰めの時期ではあると思いますが、もし「授業での活用」の研修が今入っていないのなら、なんとか入れていただけないかと思います。
GIGA第1期と同じ端末でも、既に配布されている学校があっても、研修の設計が変われば、学校現場の風景は変わります。
② 支援の流れを、あらためて整える
更新期は問い合わせが集中します。既に電話対応で大変な思いをされている方もいらっしゃるかもしれません。もしこれからだという方がいらっしゃる場合は、以下の点を導入業者やヘルプデスク、ICT支援員とよくご検討いただけるといいと思います。
- 初期設定は誰が担うのか
- トラブル対応の一次窓口はどこか
- ICT支援員の役割は何か
- 教育委員会は何を判断するのか
この流れが曖昧なままだと、現場は混乱します。誰に聞いていいのか分からない、という状態で、誰に何を頼んでもいいのか分からない状態では、「問合せ先を調べる」という非常にもったいない時間が多数発生してしまいます。既存のヘルプデスクがある場合はなおさら、そのヘルプデスクとの意思疎通を図っておかなければなりません。「ヘルプデスクなんだから問合せたら全部解決してくれるだろう」というのはできないことです。
なぜなら、基本的に、仕様外のことをしてはいけないからです。仕様書に「その他話し合いで柔軟に対応すること」などの文言が含まれているなら、「話し合い」を実施しなければなりません。
では、「じゃああとから追加されるからよろしく」ということもとても難しいことです。なぜなら、おそらくヘルプデスクも競争入札やプロポーザルで「出来る限り安い金額」で受注するために、余力を持っているところはほとんどないからです。後から追加された業務に対応するためにはそのためのリソースが必要です。金額は増えないけれど業務は増えます、ということについて、納得いく話し合いをする必要が出てきます。
更新を機に、支援の役割分担を言語化すること、明確にすること。それは教育委員会が担う役割です。
そしてそこを最初に整理しておけば、デジタル学習基盤を強くすることにつながります。
③ 「今回の更新で何を進化させたいのか」を言葉にする
GIGA第1期で感じた違和感や課題は、きっとあるはずです。
- 活用のばらつき
- 持ち帰りルールの運用
- データの活用不足
- 校務と学習の分断
更新は、これらを見直す機会です。とはいえ、一度に全部解決することは難しいですし、そう簡単に解決できるならきっととっくに解決されています。
ですから、何を一番解決するべきか、ご担当の方だけで悩まれるのではなく、様々な方とお話しいただき、意見を集めていただければと思います。
「(ほとんどなにも検討せずに)前回と同じように運用する」のではなく、今回の更新で何を一歩進めたいのか。
その意図を言葉にできれば、GIGA第2期での進化は確実になります。
④ データを「見る文化」をつくる
端末は整っています。
ログも蓄積されています。
けれど、それを定期的に見ているでしょうか。見ているなら、どなたが見ているでしょうか。
- 活用状況を共有する場はあるか
- 管理職がデータを読む機会はあるか
- 改善につなげる仕組みはあるか
端末が変わらなくても、データの扱い方は変えられます。
「見る文化」は、更新期から始められます。まず「見る」文化を作り、見ることに慣れてから「データを活用する」フェーズに移れば、より活用が推進されるでしょう。せっかくデータが見られるのなら、見て、ご自分の直感とギャップがあるのかどうなのか、確認することだけでも始めてはいかがでしょうか。教育委員会から、段階を追って(1年目は見る、2年目からは見つける、など)ご指示が出れば、より浸透しやすくなると思います。
⑤ 属人化を、ここで止める
更新期は、詳しい人に業務が集中しやすい時期です。何から手を付けていいのか分からないからとにかく詳しい人に聞く、という状態はどこの自治体のどの学校でも見られます。
- 設定手順が文書化されていない
- ノウハウが個人に依存している
- 引き継ぎが十分でない
この状態になるのは構造上ある程度仕方ないことなのですが、それをそのままにすると、異動とともに止まる学校、あるいは教育委員会が多く発生してしまいます。4月当初は1年間の関係を構築するために、先生方は子どもたちと全力で向き合われたいと考えていることでしょう。ですが、「詳しい先生」が他の先生に頼られきりで、ご自分の担任の子どもたちと向き合う時間が減る、というのはとても残念なことです。
教育委員会内でも同じことですね。異動してきたばかりの指導主事がICT関連の施策を(言葉を選ばずに言えば)「ひっきりなしの電話対応で、把握する前に訳が分からない状態で決めないといけない」のもとても残念です。
更新は、仕組みを残すチャンスでもあります。
- 手順の明文化
- FAQの整備
- 役割の可視化
こうした積み重ねが、基盤を強くします。今こそここに手を付けてみませんか。ハイパーブレインではこのご支援を得意としております。ちょっと話を聞いてみたい、というだけでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
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守るべき軸もある
一方で、変えないほうがよいものもあります。特に、アカウントの整備について安定運用できている自治体は、その運用は続ける必要があります。支援人材が学校に訪問しているなら、きっと学校は「人が来て支援してくれる」ことは必要だと感じているはずです。(質の担保については私が別の個所でお話ししておりますので、今回は割愛します)。更新によって変わることを、変わらない支援人材がサポートする、という状況は現場にとっても安心できることではないかと思います。
以下の内容は、守るもの、と捉えていただき、既に進んでいることについてはぜひ守っていただければと思います。
- アカウント体系の安定
- データの継続性
- 支援人材への投資
- 自治体としての設計思想
端末が変わっても、学びの入口と支援の基盤は安定していること。設計思想、どのような子どもを育てたいのか、が揺らぐと、活用は後退してしまいます。
おわりに
更新は、通過点です。
GIGA第2期をどう位置づけるか。それは、自治体がそれに気づくかどうか、発信するかどうかにかかっています。
端末は決まりました。大変な思いをされて学校に新しい端末が配布されます。
この端末を使って、教育の未来をこれから作る、ということを現場や支援人材と一緒に進めていくことが大切です。
単なる「端末の入れ替え」で終わらせず、次の5年間をどう進化させるか。
その問いに向き合うことから、自治体の教育DXはまた一歩前に進みます。
読者へのみなさまへ
今回の更新で、あなたの自治体は「何を進化させたい」と言えますか?
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投稿者プロフィール

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株式会社ハイパーブレインの常務取締役です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。






