令和の日本型教育とは43
皆さんこんにちは。
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。
この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。
本日は第8部「人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設の在り方について」を読んでいきます。
基本的な考え方
平成20年をピークに、総人口が減少に転じたことから答申が始まっています。
15歳から64歳の生産年齢人口は、平成29年の7596万人(総人口に占める割合60%)から、令和22年には5978万人(53.9%)となるという試算が書かれています。
さらに、公立小中学校では、令和元年より過去10年間で10%学校数も児童生徒数も減少しているとあります。1市町村1小学校1中学校等 という市町村が233団体(13.3%)という数字も、学校教育の維持が困難となる可能性の高まりを感じさせます。
一方で、開発が突然進み、高層マンション等がたくさん建てられた結果、児童生徒数が急激に増加する地区もあり、課題は山積みです。
答申では、この深刻な課題を提示した後、それでも、すべての子どもたちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びを実現することが必要、と述べています。大事なことなので何度も言っていますね。
学校の配置やその施設の維持管理、学校間の連携など、持続的で魅力ある学校教育が、日本全国どこででも受けられる取り組みについても必要だと述べています。
児童生徒の減少による学校規模の小規模化を踏まえた学校運営
公立小中学校等の適正規模、適正配置等について述べられています。規模だけで言えば、統合したほうがいい学校もありますが、地域の実情に応じたきめ細かな分析に基づく各設置者の主体的判断となる、とあります。
その際、教育部局だけではなく、首長部局と分野横断的な検討体制を構築することが重要である、と述べられています。教育部局だけではない分、地域の住民の声も届きやすいですし、役所内にも理解者が増えるのはとても仕事がやりやすくなりますね。
分校や組合立化など、様々な選択肢があることも述べられています。どうして学校規模が必要かというと、児童生徒が切磋琢磨し協働する環境整備の観点や、小学校高学年からの教科担任制の導入が理由として挙げられています。先生一人、子ども二人、というような場合、気が合う先生ならとても良いですが、そうでない場合辛いですね。規模があれば、選択肢もありますが、なければずっとつらい、ということも考えられます。
とはいえ、地理的要因や地域事情により、学校存続の方がメリットがある、ということも多いでしょう。少人数を活かした指導、ICTを活用した遠隔合同授業等の取り組みを推奨しています。
義務教育学校制度の活用による小中一貫教育の推進については、義務教育9年間を見通した教育課程編成を可能とする学校の裁量拡大について検討することが述べられています。
また、中山間地域や離島などに立地する学校の教育資源の活用・共有については、課題が分析されています。自校の教育資源には限りがあるのは当たり前ですね。そのため、遠隔授業を実施することや、学校間連携の実の足、共同体制を整備するための制度的・財政的措置を講じることが必要であると述べられています。
なにかをするのでしたら、お金が絶対に必要になりますね。答申でそれを述べることはとても重要です。
地域の実態に応じた公的ストックの最適化の観点からの施設整備の促進
学校は自然災害等の際、避難所となりますね。耐震化や老朽化対策、防災機能強化などを通して、災害が起こった時に子どもたちの命を守ることも併せて、安全・安心な教育環境の整備が求められます。
ただ、学校の老朽化は一斉に進んでおり、限られた財源の中で戦略的に学校施設の整備を進めることが重要である、と述べられています。
地域の実情に応じた長寿命化、他の公共施設との複合化、共用化など、計画的・効率的な施設整備を進める必要があります。整備を進めるために、国の支援の充実が必要ということも述べられています。
そして、「あわせて,こうした整備の方針については, 全ての設置者が今年度末までに策定する個別施設計画に適時反映していくことが重要となる。」と締めくくられています。今年度末、というのは、答申が出た今年度末ですからつまり令和2年度末、令和3年3月に出ているはずのものですね。
例えば、名古屋市では以下のページに書かれています。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-10-11-0-0-0-0-0-0-0.html
行政職の皆様は既にもうご存じでしょうけれど、教育委員会内で周知徹底が進んでいるとは考えづらい状況です。計画を共有して、学ぶことが楽しい環境を作っていけるといいですね。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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