財政措置の方針に目を配り、ICTに活用できるようにすることが必要です

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

197

本日は追補版第7章 ICT環境整備の推進方策についてご説明します。

ICTの環境整備が進んでこなかった大きな理由の一つは金額が非常にかかることです。パソコン1台を買うのに様々なお金がかかりますね。ボリュームディスカウントできるだろう、というところもありますが、では学校現場で使うパソコンはどのようなものが適切なのでしょうか? ほとんどの自治体は、小学校1年生と中学校3年生が使う端末を同時に調達します。設定が全く同じで大丈夫でしょうか? ケースは? キーボードは必要、不必要? お絵かきソフトは? など、検討事項がいくつもあります。一斉授業では同時にアクセスすることも多いですし、GIGAスクール構想後でもとにかくインターネットに快適に接続されることが重要ですね。では、そこでどれくらいのスペックのどのようなものを調達すればよいのでしょうか。今までは日本中の自治体でばらばらとその知見が散逸していました。しかし、GIGAスクール構想を踏まえて、「学校の実情を踏まえた安価に環境を整備するためのモデル例」が手引きの213ページから215ページにも掲載されています。

大型提示装置が一番にあります。この大型提示装置は「一人1台入るなら必要ないだろう」という意見が必ず出てきますが(主に財政課)同じものを見る、という学習行為による相互作用を考えると現在はあったほうが授業として効果的だと考えられます。今後の子どもたちの世界がどう変わっていくかはわかりませんが、画面共有の技術が上がっていけば、いらなくなるかもしれませんね。街頭テレビでみんなでかたずをのんでワールドカップを見るのではなく、個別のデバイスでそれぞれ見たい角度で見る、なんて風景が定着すれば変わるかもしれません。

続いて学習者用コンピューターについての必要最低限が示されています。小さな自治体で、一人何役もこなさなければならない指導主事や、そもそもICT担当がいない行政職の皆さんも、下見積もりを取りやすくなったはずです。ネットワーク、ソフトウェア、教育クラウドについても同様ですね。

また、「SINET」に関しても言及があります。GIGAスクール構想でネットワークを整備するにあたり、SINETと接続ガンガンできますよ! というところまで整備が進んでいればよかったのですが、これは話が出てから実現しようとする時期までの間が短すぎました。手引きにも将来の選択肢の一つ、となっています。各学校から、公衆網にVPNを組み合わせて、SINETのノードに接続することで超高速で大容量の通信が実現できるとありますが、SINET自体は超高速でも、そこまで接続しに行くための公衆網が超高速でなければあまり意味はありません。

この章では最後に「関係者の意識の共有」「専門性を持った人材の育成・確保」についてあげられています。「関係者」は、教育委員会内だけではなく、首長部局、学校、教員、保護者、地域住民等たくさんのステークホルダーと考えればよいと思います。できるだけ広い範囲で意識を共有できれば、事業も進みやすいですね。また、専門人材については、「ICT活用教育アドバイザー」の活用について述べられていますが、リストを見ると確かにこの方たちに聞けばなんとかなりそうだ! という人材ばかりです。積極的な活用を推進したいですね。事務局がもう少し上手に機能してくれるともっといいなと思うのですが。

次回は、追補版第7章特別支援教育におけるICT環境整備についてお送りします。

投稿者プロフィール

株式会社ハイパーブレイン
株式会社ハイパーブレイン
株式会社ハイパーブレインです。
教育の情報化に貢献し,豊かな会社と社会を作ります。