教育ICTガイドブックのご説明その1 待ちに待っていました!

皆さんこんにちは。

なかなか総務省や文科省からの新たな資料が出てこず、ハラハラドキドキしていた今日この頃ですが、6月30日、総務省より待ちに待った資料の公開がありました!
総務省「先導的教育システム実証事業」 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/sendou.htmlに、「教育ICTガイドブックver1」(リンク先PDF:約22MB) http://www.soumu.go.jp/main_content/000492552.pdfが公開されましたので、早速ご一緒に内容を確認していきましょう。

教育ICTガイドブックイメージ

このガイドブックには、具体的な先進事例が40紹介されています。圧倒的な数ですね。
はじめに教育ICTの今後の見通し等について説明があり、すぐに事例紹介が開始されています。
まず、「学びを活性化する」事例11例。続いて「学びを最適化する」事例11例。最後に「学びを支援する」事例18例が紹介されています。
そのあと、教育ICT支援導入手順がまとめとして掲載されています。クラウドハンドブックの内容をよりブラッシュアップし、より具体的イメージがつかみやすい内容となっています。

全体的に非常に読みやすく、そしてポイントが抑えられており、私は読んでいてとてもわくわくしました。
本日は、教育ICTの今後の見通し等、「はじめに」、の部分をご説明させていただければと思います。

ガイドブック3P、冒頭でICTを教育で活用する意義については「大きく3つのAに整理することができます。学びを活性化する“Active”、学びを最適化する”Adaptive”、学びを支援する“Assistive”の3点です」とあります。

Active は、これまでもICT活用効果として重要視され、実際実績を出してきた部分になるかと思います。
主体的、協働的で深い学びを実現するためのツールとして利用できる、ということが大きいですね。
自分の意見と友達の意見を画面で比較できる、ということがポイントとして述べられていますが、私は本ガイドブックでも紹介されている三重県三雲中学校の実証成果で話されていた「子どもたちはノートを見せ合うのは嫌がることもあるのに、タブレットだとすっと見せ合う。不思議だがそれで意見の比較、ということが非常に多くできるようになった」というお言葉が印象に残っています。
 また、一人1台持つことで、いつでもどこでもつながる環境を構築し、興味を持ったことをすぐ調べる、共有する、協議する、ということが容易にできるようになることも「学びの機動力」を高める働きをする、とあります。
 さらに、自らの考えをタブレットを使って示すことができ、それに対する反応をすぐ得ることができる、友達の良い表現方法をすぐに取り入れて真似することができる、という能動的な動きがしやすくなります。
 Activeにやっていける環境を今一番作りやすいのがICTだということですね。

 続いてAdaptive、学びの最適化、ということですが、ICTを利用して一人一人の習熟度が分析・可視化されることで学びが個々の児童生徒にとって最適化される、ということを説明しています。
 また、見える化された学習記録等のデータを学校と家庭で共有できれば、保護者としては「だからこれをやったほうがいいのか」と非常に説得力がありますし、学校も「そのためこれをやったほうがいい」と説明しやすくなります。
 私は塾講師を長い間やっていましたが、授業を行う度に「学校の先生は本当に大変だ」と思っていました。
塾は成績を上げる、という単純明快な目標に向かって、習熟度別のクラスに振り分けたり、自信を失っている子どもにはとにかく「点を取る」ための方法を教えたりすることができます。
ですが、学校の先生は様々な習熟度の子どもたちに一度に教え、更にそこで例えば数学的思考方法や考え方、といったところも身に付けさせなければなりません。
今でも印象に残っているのは、ある生徒が「先生、今日学校で、1辺の長さが2倍になったら面積が4倍になる理由を習ったけど、全然分かんない」と言ってきたことです。
すぐに黒板に正方形を書き、それを起点とした1辺2倍の正方形を書き、4等分して「ほら4倍」というと「ほんとだ!うわー、こんな簡単なことなんで私わからなかったんだろう」と目を白黒させています。「学校の先生はどういって教えてくれたの?」と聞くと「なんかこの元の正方形を三角形に分割してどうとかこうとか」というのです。きっと数学的に正しい思考方法で学校の先生は教えてくださったのでしょう。ただし、目の前にいる彼女は、その抽象的概念がなかなか理解できなかった。だから、もっと単純化して教えてあげればすぐに理解できたわけです。
 こういう生徒を、生徒の習熟度に合わせて学校で最適な授業ができれば本当に素晴らしいことだと思います。
ICTにより、教育の説得力が高まり、個々の能力をさらに伸ばしていくことができる、素晴らしい機会だと思います。

 最後はAssistive、学びの支援です。

 地理的制約、心身の障害、貧困等様々な困難を子どもたちは抱えています。その学びを支援するツールとしてICT は活用でき、学びの選択肢を増やすことができる、ということです。
「これしか選べない」ではなく、「多様な選択肢の中から自分で納得したものを選ぶ」ことができることがどれだけ幸せか、私は地理的制約のある大きな田舎で育ちましたので、本当にそう思います。
 また、子どもたちだけではなく、先生方の業務負担軽減にも大きく役立ちます。
全国各地の個々の先生でそれぞれ研究するよりも、自分の得意分野の研究を共有し、限られたリソースをうまく振り分けることができればより高度な教育を行うことができるようになるのではないでしょうか。

 このように、3つのAの頭文字を取ったものを総務省は「トリプルA」と言っています。
Assistiveを土台として、Active、Adaptiveを実践していく形をとっていくことで、ICTの活用がますます進むと考えられます。
 その続きにクラウドの使い方についての説明が載っていますが、こちらはクラウド導入ガイドブック(リンク先PDF:約9MB)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000417631.pdf
で述べられている通り、自前ですべてを用意するのではなく、外部のリソースを活用することで、ますます予算にも管理にも余裕ができる、ということを説明しています。
クラウド導入ガイドブックについてはHBI通信でも詳しくご説明しておりますのでよろしければご確認ください。
http://ict-help.jp/hbi/category/%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a6%e3%83%89%e5%b0%8e%e5%85%a5%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%96%e3%83%83%e3%82%af/
 はじめに、で説明されていることを前提に、次回からはそれぞれの実践事例について詳しくご説明していきます。

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