教育ICTガイドブックのご紹介 その2 事例最初は福島県新地町です

皆さんこんにちは。
総務省先導的教育システム実証事業 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/sendou.htmlに公開された、「教育ICTガイドブックver1」(リンク先PDF:約22MB) http://www.soumu.go.jp/main_content/000492552.pdfの内容をご一緒に確認させて頂きたいと思います。

希望の光イメージ

この資料は、40の事例の「事例編」と、クラウドのすゝめである「手順編」で構成されています。
事例は丁寧に書かれており、とても参考となるものばかりですので、どうぞお付き合いください。

事例1つめは、「学校・家庭・地域を活性化する一人1台環境でのクラウド活用」(福島県相馬郡新地町 新地町教育委員会https://kyoiku.shinchi-town.jp/index.php?page_id=18)です

特筆すべきは、「家庭学習」に一人1台のタブレットを利用していることではないでしょうか。
タブレットとモバイルWi-fiルーターを家庭に持ち帰り、家庭でタブレットをインターネットに接続して学習を行っている、ということです。
子どもたちは楽しそうに学習し、大人はそれに刺激を受けて震災後の気持ちの切り替えがうまくいったということにも触れられています。
当初はタブレットに懐疑的だった保護者も存在したそうですが、現在使いこなしている段階になって、ほぼ高評価に変わっているとのことでした。

勿論一足飛びにこの環境が実現したわけではありません。

2010年からタブレット、ICT支援員の配備を進めていた最中に震災に見舞われた、とあります。
町の教育課題として、地域格差開所のほか震災の影響を最小限に食い止めること、そのために家庭学習の質を高めること、が加わったということで、まず町は2011年フューチャースクール推進事業に参画しました。2014年からは先導的教育システム実証事業の実施地域として、クラウドの活用を進めていったとあります。
 これらの取り組みが実を結び、2017年(取り組み開始から7年)で、電子黒板やタブレット等ICT環境が現状での理想通りに完備された、とあります。

 ここで注目は、様々な国の施策を活用している新地町でも、7年かかる、ということです。

 教育の情報化、ICT化はじっくり丁寧に進める必要があるということですね。
長くかかるから大変だ、ではなく、それくらいかけて完備する、という意識に切り替えることによって、予算の獲得もしやすくなるのではないでしょうか。

 そして、もう一つの側面として、ICTを人が受け入れるための時間はやはり必要である、ということがあげられると思います。
「苦労すればしただけそれだけ愛情がある」という考え方が根強く残る、そういう風習がある、ということは皆さん常々感じていらっしゃると思います。
先生方は本当に様々に苦労なさって子どもたちのために頑張られています。
そういう先生の努力をICTを使って一掃する(という風に捉えられる)ことに抵抗がある先生や大人も多くおみえでしょう。
保護者も、自分が学校で学んでいた時とは全く違うタブレットに戸惑い、昔の教え方が良い、と考える人も多くいると思います。

 そこを、少しずつ意識を変えて、ICTの活用がとても前向きなことである、今までの努力を否定するものではなく、さらにICTを活用することによってよりよい努力を生み出すことができる、と捉えてもらう必要があるわけですね。
やはりこれも一足飛びではなく、長い時間をかけた結果「他の市町にうらやましがられる」という保護者の声や、新入生の増加というわかりやすい数字に表れたと感じます。

 何事も性急に成果はでないということですね。
 ICTというと、効率化が非常に進む、しかも目に見えて、という印象が強いですが、そうではない、ほかの施策と同様結果が出るまで長い目で見る必要がある、ということがわかりました。
ICTの技術は日進月歩ですが、それを学校現場という特殊な環境で(フィルタリングや授業支援システムが必要だというだけでも一般的なICTとは一線を画します)使いこなす人間はそうはいかないということですね。

 新地町の発表を直接聞く機会がありましたが、非常に活用が進み、先生方の意識も保護者の意識も前向きでした。子どもたちも楽しく効果的にICTを活用しています。それでも、なおやりたいことがたくさんある、とお話をされていたのが印象的でした。
 千里の道も一歩から。まさにそれが体現されているな、と感じました。
 皆さんの自治体も一歩を踏み出すために、何をどうしたらよいか、というところからご支援させていただければと思います。ご遠慮なくお問合せください。

 次回も事例のご紹介を続けていきます。

投稿者プロフィール

株式会社ハイパーブレイン
株式会社ハイパーブレイン
株式会社ハイパーブレインです。
教育の情報化に貢献し,豊かな会社と社会を作ります。