次世代校務DXガイドブック1
皆さんこんにちは。
2025年3月(令和7年3月)に 次世代校務DXガイドブック-都道府県域内全体で取組を進めるために- が公開されました。
サブタイトルにある通り、「都道府県域内全体」での取組が重要である、という認識のもと「学校、首長部局、関連事業者等の幅広い関係者との共通認識を図る」ために使える資料です。行政職の皆様におかれましては、「どうして話が通じないんだ」と困られることもあるでしょう。それを手助けしてくれる資料となりますので、ご一緒に確認していきましょう。
はじめに
どんな資料にも「はじめに」はついています。読み飛ばされる方もいらっしゃるでしょう。ここでぜひ読んでいただきたいのは、後回しにされがちな
「教職員の校務についてのDX」をやっていく 理由:質の高い教育を実施するための教職員確保
をやっていかなければならない、という危機感です。
学校の先生は「大人なんだからちょっと頑張れ」とたくさん頑張っていらっしゃいましたし、教育委員会の指導主事はじめ少数精鋭の職員は「優秀だから教委に来たのだ。弱音を吐いている場合ではない」という期待にたくさんたくさん頑張っていらっしゃいました。ところがもう、1人の人間の優秀さでカバーできる範囲の世の中ではなくなっているわけです。セキュリティ1つとっても、各分野の専門家がいるように、それを1人の人間が全部把握するなどということは到底無理です。しかも、もともと、その自治体の未来を担う子供たちに対して良い教育をどう提供するか、どういう良い授業をするか、というのを考えるのが指導主事の本懐というものではないでしょうか。
ナントカの調査、ナントカの調整、クレーム処理……最新の情報は遠慮なく世の中にあふれ、それらを整理し、理解し、行政に活かしていくことも、その仕事だけやっていれば優秀な方ならできることだとしても、現状は無理です。
一部はデジタル、一部はアナログ、という目の前30㎝のDXではなく、根本的に働きやすい環境を作ること、を教育委員会が考えるためのガイドブック、という位置づけのものです。「この部分のこの作業が面倒だから、この作業を代替するツールを入れる」ことにより、「この作業」は楽になったとしても、「この作業」を実施するための様々な手順が増え、環境を変えなければならず、その結果違うことが面倒に……という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「都道府県単位」で校務DXを推進すると、様々なメリットがあります。それについて、具体例を見ていく前に、「今できるDX」を確認しましょう。
1.次世代校務 DX の姿
「次世代校務 DX とは、クラウド上での校務実施を前提とし、ロケーションフリーやデータ利活用・データ連携を通じて以下の事項の実現に資する新しい校務の在り方」という書き出しでガイドラインが始まります。
- 学校における働き方改革
- 教育活動の高度化
- 教育現場のレジリエンス確保
を実現しましょう、ということです。
学校出身ではない行政職の皆様は、「働き方改革はもう何年も言われているじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、進まないのです。私の近所の小学校の明かりは、もうずっと夜遅くまでついていますし、週末もどなたかいらっしゃいます。
つぎはぎのデジタル化で、余計な手間が増えた、ということがないように「従来は職員室でしかできなかった業務の教室での実施や、出張先での職員会議等への参加、学校外からのテレワーク」等具体的に、これをやりましょう、という記載があります。
たとえば、伝達研修はわざわざ集合する必要はないと考えます。「その前後で会って話が進むんだよ」と仰っていた校長先生がおみえでしたが、それは一面の事実だったにしろ、伝達研修のためにわざわざ70km車を運転して出張することを月に1回繰り返すことによる生産性はいかばかりでしょうか。
その時ついでに会って話をする、のではなく、その考え方を改めて、「話を進める」ために会う、話す、ということを別に考える必要があるのではないでしょうか。
もちろん、全部を廃止しろなんて極論を申し上げているわけではありません。年度当初は顔を合わせたほうが良いでしょうから、集合する意義があります。そういう時には集合し、そうでない時にはオンラインミーティングで十分ではないでしょうか、ということを申し上げています。
慣例だから、ずっと昔からこうだから、大変な労力をかけることに疑問を感じない先生がたくさんおみえです。周囲がみんなそうだから、とそうではない世界をご存知ないために、労力を使っていらっしゃいます。もっと楽ができることは、楽をしましょう、と先生方には声を大にしていいたいところです。
行政職の皆様も、ぜひ、現場で先生方がどのようなことをされているのか、細かくご覧いただけるといいのではと思います。保護者に出すおたよりをどのようにクラウドに掲載しているか、行政職の皆様が想像される方法ではないもので行われている現場も多くあるはずです。
来週は、具体的な取り組み内容を見ていきます。
投稿者プロフィール

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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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