令和の日本型教育とは41

皆さんこんにちは。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。

この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。

本日は第6部「遠隔・オンライン教育を含む ICT を活用した学びの在り方について」を読んでいきます。

基本的な考え方

答申では、改めて「これからの学校教育を支える基盤的なツール」として「ICTは必要不可欠なもの」という書き出しから始めています。何度も繰り返しこれを言わないといけないという状況だということがわかりますね。

また、「学校教育における ICT の活用に当たっては,新学習指導要領の趣旨を踏まえ,各教科等において育成するべき資質・能力等を把握し, 心身に及ぼす影響にも留意しつつ, まずは ICT を日常的に活用できる環境を整え,児童生徒が「文房具」として活用できるようにし, 「主体的・対話的で深い学び」 の実現 に向けた授業改善に生かしていくことが重要である。」
と述べています。少し長い文章ですが、とにかく「今までとは違う」「ICT機器はお客さんでもご褒美の道具でもない」等という先生方にとっての発想の転換を促していると言えますね。

ICT機器は今までにないほど手足を伸ばしてくれるツールですし、感染症対策のためのオンライン授業実施のツールとしても必須です。
ただ、今までの経緯から、「パソコンに子守をさせる」認識がなかなか消えない人もいるでしょう。ICT機器の話をすると、全部ICT機器か、全く使わないか、という極端な議論に陥ることもあります。最近ではずいぶん減りましたが。

そうではなく、教育効果を考えながら適切な時に適切な場所で適切なツールを選択して使えるようにしておくことはとても重要なことだ、と述べられています。

また、対面指導と遠隔・オンライン教育の充実というところも二元論的に考えられることが多いですが、これもまた適切な時に適切なツールを適切な対象に提供できることが大事です。児童生徒が選択できるようになると最高ですが、教員の負担についても検討する必要がありますね。

端から見ると「なんでそのことをやらないのか」と思うことは世の中にたくさんありますが、何かを変えようとするときには「えいやあ」、では変えられないことも多くあります。変えなければならないことは認識したうえで、うまく帰るためにどうしていこうか、ということを考えていく必要があることは、繰り返し述べてきました。

ICT の活用や,対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化による指導の充実

ICTの日常的な活用による授業改善は、たくさんの取り組みが実施されています。答申では学習履歴(スタディ・ログ)など教育データを活用した個別最適な学びの充実について長く述べています。

まず、スタディ・ログの活用についての是非はここでは触れられていません。児童生徒のログは児童生徒のものであるのかどうか、ということは一度置いておいて、このログを活用することによって学習成果の可視化がなされる、というポジティブな側面で話は進みます。

活用するためには、データ標準化が待ったなしです。活用するなら、データは共有することが前提で、共有するためには統一のコードが必要ですね。

また、プラットフォームの構築、全国的な学力調査をCBT化、対面と遠隔のハイブリッドな授業づくりや高等学校における遠隔授業の活用など、どんどん必要だということが出てきます。

デジタル教科書・教材の普及促進については特に学習者用デジタル教科書の普及について述べられています。令和6年度の小学校用教科書の改訂までに促進を図る、と述べられています。

今までずっと見てきた「児童生徒の特性に応じたきめ細かな対応」もここで再度述べられており、ICTの活用が強く望まれています。

ICT人材の確保

GIGAスクールサポーター、ICT支援員といったICT人材の確保を促進するべきである、と答申では述べられています。企業や大学との連携、とありますが、大学生のボランティアに頼り切るのではなく、きちんと予算化をして持続可能な支援を実施していく必要があることは既に何度も何度もお伝えしてきました。

とりわけICT支援員は「学校における教員の ICT 活用(例えば,授業,校務,教員研修等の場面)をサポートすることを想定しており,教師と ICT 支援員が連携することにより,ICT を活用した授業等を教師がスムーズに行うことができると考えられるため積極的な活用が求められる。」とあります。スムーズに連携してきちんと実績を出すためには、1年ごとに落札できるのかどうかわからない業務委託形式や、有期雇用のICT支援員ばかりでは無理だということはご想像いただけるでしょう。

意味のある支援を継続して実施するために、ICT支援員自身の雇用の安定と、バックアップ体制の充実を図ることはとても重要です。そのためには1にも2にもお金が必要です。行政職の皆様は、そのあたりのところをぜひご確認ください。

ハイパーブレインでは、予算化の際どのような資料を作成すると効果的なのか、行政職の皆様にヒアリングしてご一緒に提案資料を作成する等の教育情報化コンサルティング事業を実施しています。

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ハイパーブレインの教育情報化コンサルティング
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投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。