教育振興基本計画33

皆さんこんにちは。

令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。

そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。

特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。

本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。

Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策

(目標、基本施策及び指標)

目標16 各ステークホルダーとの対話を通じた計画策定・フォローアップ

長らく読んできた教育振興基本計画も今日で最後となります。目標16は、ページ数でいえば半ページ程度ですが、私はここにとても重要なことが書かれていると思います。冒頭部を引用します。

「教育振興基本計画の策定・フォローアップにおいて、子供を含む各ステークホルダーからの意見聴取・対話を行い、計画への反映を行うなど、当事者の意見を取り入れた計画の策定・実施を推進する。」

ここに「子供を含む」とあります。HBI通信でも何度も申し上げている通り、学校経営や学級経営、PTA活動などに、最大のステークホルダーである「子供」の意見がどれだけ反映されてきただろうか、というのは長年思ってきたことです。

それが、この計画でわざわざそれに言及し、文章の中に「子供」と入っている、というのはとても前進した、と感じます。

公立学校は、自治体が設立し、そこで教職員が働き、子供たちが通って学んでいます。教職員の中にも、教員とそうではない職員がいて、教員の中にも正規雇用と非正規雇用が混じっています。また、職員は、およそ1人ずつそれぞれの専門分野をもって働いています。事務職員は事務をつかさどっています。なお、職員は、ほとんど非正規雇用の人員が占めており、正規事務職員だけでは足りない事務の補助作業を実施する事務補助、学校図書館司書、ALT、ICT支援員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールサポートスタッフなどなど……学校の忙しさがだいぶん理解されて、仕組みやシステムを変えるのではなくまず人間を手当てしよう、ということで様々な名称の人員が学校で働いていることは、HBI通信で何度も触れてきました。

それら数多くのステークホルダーの、意見を反映しよう、という姿勢がみられるというのはとても意義のあることだと思います。

基本施策として挙げられているのは以下1つです。

  • 各ステークホルダー(子供を含む)からの意見聴取・対話

ぜひ、何度でも様々な立場から意見聴取を実施してほしいです。パブリックコメントは、余裕をもってお願いします。

以前、「学校教育法施行規則の一部を改正する省令案に関するパブリックコメント」が令和3年7月16日から令和3年8月15日まで募集されました。私も個人的に意見を書いて送りましたが、まとめられたのは令和3年8月23日付で、https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000223562 学校教育法施行規則の一部を改正する省令案が公布・施行されたのも令和3年8月23日でした。https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/mext_00034.html

一生懸命書いた意見は、まとめられた中の1行くらいに収まっており(それは当然そのようになるでしょうけれど)反映するという回答ではなかったため、これは……! と思ったものです。

指標は以下の通りです。

  • 国・地方公共団体の教育振興基本計画策定における各ステークホルダー(子供を含む)の意見の聴取・反映の状況の改善

改善とはどのようなことを意味するのだろう、という疑問は残りますが、まず「子供を含む」ということが強調されてるのは大きな前進だと考えます。

来週からは新しく、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン を読んでいきます。よろしくお願い申し上げます。

投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。