令和5年度 ICT支援員(情報通信技術支援員)の配置状況1
文部科学省のWebサイトは、新着情報一覧に載らない更新が様々あります。この資料もその1つ。令和5年度ICT支援員(情報通信技術支援員)の配置状況です。令和5年度分なので、そのうち削除されるかもしれない資料となります。全3ページ分、スクリーンショットを撮って確認していきましょう。
令和5年度 ICT支援員(情報通信技術支援員)の配置状況

文部科学省 令和5年度 ICT支援員(情報通信技術支援員)の配置状況 https://www.mext.go.jp/content/20250120-mxt_jogai01-000010766_002.pdf (2025年8月21日閲覧)
GIGAスクール構想前には2258人だったICT支援員が、令和5年度には7172人へと増加しました。4.5校に1人の配置となっています。目標は8000人、4校に1人の水準です。
1805億円の地方財政措置の中にICT支援員を雇う費用が含まれている、という説明です。
では、理想のICT支援員配置を考えた際に、どれくらい費用が必要なのか概算で見てみましょう。
……と、考えると、「4校に1人」という配置目標には解釈の幅があることに気づきます。ICT支援員が訪問する頻度や、学校の滞在時間については目標化されていませんから、「午前と午後で2校訪問する」ほか、「3か月に1回、1校2時間×1日3校訪問する」だったり、「1人9校受け持ち、1校につき2名配置する」など、それは労働条件として、働きたい人がなかなかいないだろう、という状況であることも見聞きします。
私の考える理想のICT支援員配置は1校1人常駐ですが、一足飛びにそこまでいけませんから、4校に1人、の定義を考えます。
1人の支援員が1週間に4校訪問、8時間滞在
が基本のはずです。
それでは計算してみましょう。
8000人×50週×4校×8時間×時給2500円 + 管理費・研修費等
だと、320億円 + 100億円
合計420億円くらいですね。よかった、地財措置の範囲に収まっています。ところが、ICT支援員を配置しているのは7割の自治体で、こんなに予算はついていないはずです。この数字のもととなる「令和5年度自治体における学校のICT関係決算状況等調査」は、少なくとも平成20年代から各教委に調査があり、私も「これはどれに当てはまるのか」「ICT支援員は何人だ(ヘルプデスクと兼務している人を数えるか数えないか)」等、市教委の先生方と頭をひねって考えていました。
この調査結果は公開されていません。いくらなのか知りたいところです。
ところで、このような計算式を掲載すると、管理費・研修費等でぼったくりすぎだ! みたいなことをお聞きすることがあります。先生方の感覚とは違うということはよくわかります。先生方の働きぶりには本当に頭が下がります。
ICT支援員の時給だけでいいじゃないか! それ以上何を払うんだ、ということを(昔は)教育委員会からもよくお聞きしました。
ここまで私にお付き合いくださった皆様は「また大江が言ってるよ……」とわかってくださると思うのですが、それだと誰も幸せになれません。
ICT支援員が活躍するためには、ご支援する時間以外に研修も大事ですし、待遇も大切です。人間が働いています。機械が働いているのではありません。パズルのようにぱちぱちとピースを当てはめればいい、というものなら、人事異動も簡単に終わるのではないでしょうか。先生方も、行政職の皆様も人事異動にとても時間をかけられていることはご存知だと思います。クラス替えについても熟考されますよね。人間が働くというのはそういうことなのです。
外部委託に出すと、その「人間が働いている」が見えにくくなります。だから、かなり「それはきつい」という労働条件を提示するのに抵抗がなくなりがちです。ICT支援員が働くには、直接支援する以外に、研修を受ける、労務管理をする、給与計算をする、自治体からの情報共有をする、報告書をまとめて報告する、自治体からお金をもらうための手続きをするなど「支援以外の時間」がとてもたくさん必要です。
そして、業務委託を受けている業者に利益が必要です。
こういうことを申し上げると、「ぼったくりだ」という話になりがちですが、利益を得ないと社員に給料が払えませんし、ボーナスも出せません。法人税も払えません。法外な利益ではなく、適切な利益でICT支援員事業を実施することで、学校も、教育委員会も、先生も、企業も、ICT支援員自身も、楽しく働けることになるのです。
来週は2ページ目を読んでいきます。
よろしくお願い申し上げます。
投稿者プロフィール

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株式会社ハイパーブレインの常務取締役です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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