教育振興基本計画29

皆さんこんにちは。

令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。

そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。

特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。

本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。

Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策

(目標、基本施策及び指標)

目標12 指導体制・ICT 環境の整備、教育研究基盤の強化

この目標は、内容を見ると「教師が教師の仕事に専念できる環境」づくりのためのものであると捉えられます。

教職の魅力発信や、やりがいの発信はもちろんのこと(どんな仕事でも、その仕事の魅力ややりがいはどんどん発信されるでしょう)支援スタッフとの連携体制の構築、働き方改革、処遇改善、指導・運営体制の充実など、先生が大変でなくなるための施策が並んでいます。

どのような物事もそうですが、お金をかければかけるだけ、よい成果が出ます。それは間違いないです。教育にかけるお金は口を開けば「財政難」で、なかなか予算増額が通りません。教育に対する投資は、今日投資したら明日答えが出るものではありません。今は50年前の投資が実を結んでいる時期です。「今大丈夫だからもっと減らそう」「先生がちょっとがんばったらいい」「先生は法律で残業代が先に余分に支払われているから残業代はナシ。マジで出したら9000億円の支出増額になるから無理」ということで、現場は先生が足りずにとてもとても困っています。

それでも、私から見てとても優秀な、子どものことをとてもよく思っている学生が教員採用試験に不合格だったりしています。現場には、心無い言葉で子どもを傷つける講師も存在していますが、その講師をクビにすると、「学校の都合に合わせて(例えば、育児時短の先生の代わりに毎日短時間勤務+空き時間をモザイク状に埋めても従ってくれるように)働いてくれる先生がいないと、学校がまわらないからやむを得ず雇用する」というようなことがどうしても発生してしまいがちです。

お金があれば解決できることなのですが、なかなかお金はまわってきません。計画では以下の施策を展開していますが、いずれも「お金はとても少ないから知恵を絞ろう」です。知恵はずっと絞ってきて現在結構カラカラの状態だと思いますから、この問題に真剣に取り組む政治家に投票したいところです。

  • 学校における働き方改革、処遇改善、指導・運営体制の充実の一体的推進
  • 教師の養成・採用・研修の一体的改革
  • ICT 環境の充実
  • 地方教育行政の充実
  • 教育研究の質向上に向けた基盤の確立
  • 高等教育機関の連携・統合

特に働き方改革の部分は、詳細に「どうするか」が記載されています。指標は以下の通りです。

  • 教師の在校等時間の短縮
  • 教育委員会における働き方改革の取組状況・在校等時間の公表割合の増加
  • 教師の業務負担を軽減するため、教員業務支援員をはじめとした支援スタッフの参画を図っている教育委員会の割合の増加
  • 特別免許状の授与件数の増加
  • 教員採用選考試験における優れた人材を確保するための取組状況の改善
  • 教員研修の効果的な実施に係る取組状況の改善
  • 小学校・中学校の教員免許状の併有状況の改善
  • 児童生徒1人1台端末水準維持(教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数)
  • 指導者1人1台端末水準の向上(指導者用コンピュータ1台当たりの教員数)
  • 同時接続率を考慮して児童生徒1人当たり2Mbps 以上など、必要な通信速度を学校規模に応じて確保できている学校の割合の増加
  • 1人1台端末環境を円滑に運営するための十分なサポート体制が構築されている自治体の割合の増加
  • ICT 機器を活用した授業頻度の増加(再掲)
  • ICT 支援員の配置人数の増加
  • 大学における外部資金獲得状況の改善
  • 事業に関する中期的な計画を評議員会の議決を経て策定している大学・短期大学等を設置している学校法人の割合の増加
  • 大学間連携に取り組む大学数の増加

特別免許状の授与件数の増加が気になるところですが、指標はたくさんあり、これらに取り組んでいくことで、先生の働き方改革は確かに進むと感じられます。ICT支援員の増加には直接寄与できると思いますので、ハイパーブレインも頑張ります。

来週は教育振興基本計画Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策の(目標、基本施策及び指標)の続きを読んでいきます。

投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。