教育振興基本計画22

皆さんこんにちは。

令和5年6月、新たな教育振興基本計画が閣議決定されました。

そもそも教育振興基本計画とは、「教育基本法(平成18年法律第120号)に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、同法第17条第1項に基づき政府として策定する計画です。」と説明にある通り、政府が教育をどのようにしていくか、という施策のもとになるものです。

特に行政職の皆様はしっかりコンセプトや計画を確認して、ご自分の自治体の施策にご活用いただければと思います。なぜなら、予算が通りやすいからです。自治体独自の施策を実施しようとしたときに、「教育振興基本計画のこの部分に則っています」という説明は大変有効ではないでしょうか。

本文のボリュームも多く、新しい言葉も次々出てきますが、ゆっくりご一緒に確認していきましょう。

Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策

(目標、基本施策及び指標)

目標5 イノベーションを担う人材育成

イノベーション、という言葉は様々なものを内包しています。0から1を作り出すことができることと、1から100を作り出すことができることとは別のものですね。また、どのような育成をすればイノベーションを起こすことができるのか、ということについてもあまりよくわかっていません。

イノベーションのきっかけはどこにあるかわからず、ほんの些細なことであることがほとんどです。少し話がそれますが、ニュートンがリンゴが落ちるのを見て万有引力の法則を発見した、ということなどに象徴されると思います。

ですので、教育ではその人材を育成するためのあらゆる可能性を広げていく必要があるということですね。

計画では以下の施策が掲げられています。

  • 探究・STEAM 教育の充実
  • 大学院教育改革
  • 若手研究者・科学技術イノベーションを担う人材育成
  • 高等専門学校の高度化
  • 大学・専門学校等における専門人材育成
  • 理工系分野をはじめとした人材育成及び女性の活躍推進
  • 優れた才能・個性を伸ばす教育の推進
  • 起業家教育(アントレプレナーシップ教育)の推進
  • 大学の共創拠点化

今までの教育ではちょっと実現するのが難しかった内容が並んでいます。「優れた才能・個性を伸ばす」というのは言うは易しですが、日々の授業の中でどのように実践していくのか、学習指導要領にもヒントは書かれていますが、GIGA端末が欠かせません。さらに、今までの授業のやり方を変える必要があります。

それらをひっくるめて計画として「イノベーション人材の育成」を掲げていると考えられます。

指標は以下の通りです。

  • 学部入学者数に対する修士入学者数の割合の増加
  • 修士入学者数に対する博士入学者数の割合の増加
  • 生活費相当額(年間 180 万円以上)を受給する博士後期課程学生数の増加
  • 博士課程修了者の就職率の増加
  • 博士課程修了者を研究開発者採用した企業の回答のうち、「期待を上回った」「ほぼ期待通り」が占める割合の増加
  • 自治体や企業等と連携し社会や地域のニーズに対応できる医療人材の養成に取り組む大学の割合の増加
  • 自然科学(理系)分野を専攻する学生の割合の増加(5割程度まで引き上げることを目指し、今後5~10 年程度の期間に集中的に取組を推進)
  • 大学(学部)の理工系の学生に占める女性の割合の増加
  • 全国の大学等における起業家教育(アントレプレナーシップ教育)の受講者数の増加
  • 大学と企業等とで連携して実施する、企業の課題解決や製品開発等を題材とした授業科目の開設(PBL の実施)を行う大学の割合の増加(再掲)
  • 普通科以外の普通教育を主とする学科を設置又は設置を計画している高等学校数の増加(再掲)

具体的な数値はなくなってしまいましたが、増加することを指標としています。主に高等教育機関での指標となっていますね。大学での授業を改革することも含まれています。どこにどんなきっかけがあるかわかりませんから、チャンスの神様の前髪をつかんで離さない準備ができているといいなと思います。

来週は教育振興基本計画Ⅳ.今後5年間の教育政策の目標と基本施策の(目標、基本施策及び指標)の続きを読んでいきます。

投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。