授業目的公衆送信補償金制度を理解しておく必要があります
皆さんこんにちは
「授業目的公衆送信補償金制度」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
2018年の著作権法改正により創設され、2020年4月にスタートした制度です。学校、自治体に大いに関係する制度ですので、詳しく見ていくことにしましょう。
本日は「教育機関設置者による教育機関名の届け出について」についてご説明いたします。
授業目的公衆送信補償金制度を利用する場合は、「教育機関の設置者」がSARTRASに届け出をする必要がある、と案内があります。
各学校で届け出るのではなく、教育委員会や学校法人が届け出をする必要があるということですね。
詳しくは改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版) https://sartras.or.jp/wp-content/uploads/unyoshishin2020.pdf のP5、3(丸数字)学校その他の教育機関 にあります。最近は学校法人によらない学校もありますので、確認をしておいてください。
https://sartras.or.jp/todokede/ このページから「届け出資料一式」をダウンロードし、教育機関名記入用紙に記入して提出することとなります。
同意事項として2点あげられていますので確認しておきましょう。
1 著作物の利用にあたりまして、著作権法が規定する著作権、及び著作隣接権に十分ご留意いただき、改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)をご確認のうえ授業目的公衆送信を行ってください。
2 教育機関に過度な負担がかからない範囲で、SARTRASは著作物の利用実績を把握するためのサンプル調査を実施することを予定しております。実施の際には、是非ご協力ください。
https://sartras.or.jp/todokede/ 同意事項より引用
提出は、同ページの「教育機関の届け出」ボタンから実施できます。
方法自体は簡単ですが、令和3年度以降はここに金額の支払いが入ってきます。そちらの案内が出るまでもう少し時間がかかりそうです。
この届出をすることで、「国内外のすべての著作物」が対象となります。「一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会」(SARTRAS)に参加していない権利者団体が管理する著作物や権利者団体に所属していない者が権利を有する著作物も対象です。」ということなので、許諾を取らなくても授業目的の公衆送信で必要と認められる限度において使用できるということですね。「なんでもやっていい!」というわけではないことにご注意ください。著作権者の利益を不当に害する行為は実施してはなりません。では、不当に害する行為とはどのようなことか、ということについては改正著作権法第35条運用指針に取りまとめられています。これはまた後ほど確認していくことにしましょう。
絶対に授業目的での公衆送信は行わない、ということでしたら届け出をする必要はありませんが、GIGAスクール構想が実現した今、なかなかそれは難しいことではないでしょうか。
届け出を実施して、料金を支払い、授業での公衆送信のハードルを下げるとともに、著作権者に正当な利益を還元する、というのがこの制度の主旨のはずです。
次回は、もう少し詳しくこの制度を見ていきます。
投稿者プロフィール
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株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。
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