非認知能力をどのようにICT機器で育むのか

非認知能力とは

非認知能力のことを、ジェームズ・J・ヘックマン(2015)は「人生で成功するかどうかは、認知的スキルだけでは決まらない。非認知的な要素、すなわち肉体的・精神的健康や、根気強さ、注意深さ、意欲、自信といった社会的・情動的性質もまた欠かせない」と述べています。

 つまり、算数の問題を解く力、算数の理解だけではなく、算数の問題に取り組む姿勢や根気強く考えることなどの力も、学校の中でも育むことをねらっていきたい能力です。教師がねらいをもって取り組むことによって、子どもたちに非認知能力がついていくのでないでしょうか。

非認知能力を育むなかでICT機器が担うのは

 非認知能力を育むなかでICT機器が担いやすい部分はどの力でしょうか。根気強さ、注意深さ、意欲、自信などは比較的ICT機器が得意とする分野であると考えられます。特にタブレット端末に焦点を合わせると、子どもたちはタブレットを使うことを好みます。ノートに書くか、タブレットに書くかを選べるとすると大半の子がタブレットを選ぶことが多いです。

 学習に対し後ろ向きな子も、タブレットを使って学ぶことで、意欲を高めたり、操作を楽しんだりすることができます。ノートを使う良さももちろんありますが、字をきれいに書くことが苦手な子や、書き直したいと思ったら瞬時に新しいページを準備できることなど、タブレットには子どもが使って楽しいと感じる利点がたくさんあります。

 そして、算数の学習などで学んだことを、タブレットにまとめ、それを家の人や友だちに伝えたり、教室で発表したりすることでフィードバックをもらい、自信をつけることができます。他にも何度も間違いがないかを注意深く見直したり、根気強く資料を直したりすることでも非認知能力を育成することができるでしょう。もちろん一回ですべての力がつくわけではなく、何度も繰り返すことでタブレットを扱うスキルや、学びをまとめる力が身に付き、結果として非認知能力を高めることができます。

 もちろん今までのノートを使った学習でも育むことはできます。けれども、タブレットを使うことで学びをスムーズにまとめることができ、そこが非認知能力の育成に寄与していくのです。

タブレットを眺める画像

教師やICT支援員が見取る力をつけること

 教師やICT支援員が子どもたちの学習に関わるときに、非認知能力が育っているという認識をもっているでしょうか。知識・技能以外の力も育てているという願いをもつことで、なんでこんなこともできないんだという気持ちが少なくなります。発展途上であることが、非認知能力の育成に大きく関わっているからです。

 学習をする上で、認知能力(知能検査で測れる能力)の他にも、非認知能力が育成されていることをまずは認識すること。そして、コツコツ取り組んでいる姿や自信をもって発表している姿に対して適切なフィードバックをすることで、子どもたちはさらに非認知能力を伸ばしていきます。要するに教師やICT支援員側が非認知能力を見取る力をもつことや育てていくものであると知っていることで、子どもたちを適切に導いていけるのです。

 けれどもICT機器があれば非認知能力が伸びるという簡単なものではなく、教師がきちんとしたねらいをもって授業を設計すること。その上でねらいに沿ってうまく使っている力を見取ること。さらには、教師の想定をはるかに超える使い方ができた時に、許容する土壌があること。そういう条件が揃った時に、ICT機器を用いて非認知能力を育むことができたと言えるのではないでしょうか。

 教師は非認知能力も一緒に育みたいと考えています。それがICT支援員の方にも伝わると目線をそろえて、子どもを伸ばしていけます。行政職の皆様には、教師が考えていることが少しでも伝わって、ICT支援員の調達時等に、「そんなことを言っていたな」と思い出していただけるような、今回はそんなブログを書いてみました。

投稿者プロフィール

深見 太一
深見 太一
愛知県の公立小学校で13年、私立小学校で2年間教員経験
現在は愛知教育大学にて非常勤講師として教員養成に関わる。
クラス会議講師として小学校などで研修を行う。
北米心理学会認定のポジティブディシプリンクラスルームエデュケーターの資格をもっている。