次世代校務DXガイドブック4

皆さんこんにちは。

2025年3月(令和7年3月)に 次世代校務DXガイドブック-都道府県域内全体で取組を進めるために- が公開されました。

サブタイトルにある通り、「都道府県域内全体」での取組が重要である、という認識のもと「学校、首長部局、関連事業者等の幅広い関係者との共通認識を図る」ために使える資料です。行政職の皆様におかれましては、「どうして話が通じないんだ」と困られることもあるでしょう。それを手助けしてくれる資料となりますので、ご一緒に確認していきましょう。

2.次世代校務 DX を実現するために必要な取組

2-1.今の環境でできる校務 DX の実施

従来業務の見直しの続きを見ていきましょう。

(2)汎用クラウドツールの活用

学校独自のルール、というものが、長い間様々発展してきました。例えば通知票はそれぞれの学校の特色を活かし、様々な形式の様々なものが日本全国にたくさんありました。それらをシステム化するときに、従来のやり方を変えるのではなく、システムをそれに合わせさせてきた、という事例が教育の情報化の歴史の中で度々登場します。

学校独自のルールに合わせることのできる学校独自のシステム・ソフトウェア・アプリ……

それらは、学校以外に売ることができませんから(しかも、その考え方を採用している学校だけにしか売れませんから)開発費を回収しようとすると、単価をとても高額に設定せざるを得ません。

だからこそ、汎用のツールを使って、コストを抑え、あわせて業務の標準化も進め、異動による「何もかも覚えなおし」を避けることで教員の負担を減らすことを考えるフェーズにあると思います。

ガイドブックでは、「校務支援システムは教務・保健・学籍等に関する機能等を中核とした役割を担」うものとして使い、「汎用クラウドツールで担うことのできる業務は積極的に汎用クラウドツールで実施」するように、とあります。

校務支援システムに、カレンダー機能やメール機能、掲示板機能があるのはこれまで当然でしたね。ただそれは、汎用クラウドツールで代替できるものが多いです。「いや、こういう独自の機能がよかった」「新しいものを今から覚えるのはとても大変」ということはいくらでも出てきます。ただ、そう言っていると、異動した後「新しいものを今から覚える」をずっと繰り返すことになります。

ですので、汎用クラウドツールの使い方を覚え、そちらで代替することが、先生の働き方改革にもつながるというわけなのです。

勿論、ただ環境が与えられて、「では各自頑張るように」では頑張る気にはなれません。ガイドブックでは「各教育委員会は、設置する学校の課題把握及び伴走支援を徹底することが求められます。」とあります。伴走支援の手段は様々ありますが、ヘルプデスクの開設、ICT支援員の派遣というもの以外に、「チャット機能を一律に制限しているような場合には、その運用が適正かどうか、見直す必要」という例示もあります。

汎用クラウドツールはとても便利な反面、「これを使えるようにしたら教員の見えないところでいじめが起こるのではないか」という不安から、この機能は一律禁止、としている自治体も散見されます。それについて、理解を深め、必要な範囲での見直しを実行するように、ということも書かれているわけです。

かなり踏み込んで書かれていると思います。

「文部科学省としても、取組を後押しするため、チェックリストの項目のうち、取り組んでいる学校の割合は比較的低いものの教職員の働き方の改善に対する効果実感が高かった項目、つまり、多くの学校でまだ取り組む余地があり、取り組んでみれば教職員の働き方の改善に対する効果が大きく期待できる項目の取組事例等を整理し、発信しています」という記載があります。

発信内容はこのページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_02597.html にまとまっていますので、ぜひご確認ください。

どうしていいかわからない、不安である、という場合には、まず文部科学省が出している資料をご覧になることをお勧めします。わからないから教えてもらえるのを待ってる、という状態は、得策ではありません。校務DXに関する資料を手始めに読んでみて、少しずつ理解を深めていくのが結局は早いのです。

この資料をご一緒に読んでいくことで、その一助となれば幸いです。

来週は、具体的な取り組み内容の続きを見ていきます。

投稿者プロフィール

大江 香織
大江 香織
株式会社ハイパーブレインの取締役教育DX推進部長 広報室長です。
教育情報化コーディネータ1級
愛知教育大学非常勤講師です。専門はICT支援員の研究です。