2024~2025年 教育関連の調査・報告等まとめ(中編)

みなさんこんにちは。深井です。
「教育、今どこ見る?」シリーズ、連載第3回です。

このシリーズは当社のXとブログ「HBI通信」の間のポジション、つまり「教育業界の新しいトピックについて、Xの140字制限では伝えきれないことを補足しながらご紹介する」ことを目的としてスタートしました。

前回からは、この一年間のトピックの振り返りを3本立てで行っています。今回はその2回目、中編です。

来月のITCE3級、ICT支援員認定試験を受験予定の方は、時事問題の参考になるかもしれません。

一年分をどうやって振り返るか

前回同様、一年分の出来事をどのように抽出するかをご説明します。

ハイパーブレインは毎日、X(旧Twitter)で教育の最新トピックを投稿しています。投稿内容の厳選は、教育情報化コーディネータ(ITCE)1級保持者である大江が行っています。
つまり、当社のXには教育情報化の専門家が「これは知っておいた方がいい」と思う情報が詰まっていると言っても過言ではありません。(ド直球の宣伝)

冒頭でもお伝えした通り、この「教育、今どこ見る?」シリーズはXと大江の連載「HBI通信」の隙間を埋めるポジションを目指しています。
そんなわけで、過去一年の振り返りもXを補足する形で行います。
過去ポストから「調査」「報告」等のキーワードでピックアップしたものを、簡単にご紹介していきます。

今回は通信、教育施設に関する調査をまとめました。Xでの投稿順(時系列)に合わせて並べています。

通信に関する調査

ネットワーク状況の調査や、インターネット利用状況の調査についてまとめました。

「学校のネットワークの改善について」、「令和5年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」は、教育ICT支援に携わる人は特に必見のトピックだなと感じます。

2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果

これは、青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標等を調査したもので、高校1年生を対象に毎年行われています。

  • 偽・誤情報(フェイクニュース)や生成AIに関する危険や注意点、対応策については、「学校の先生」から教わったことがあるとの回答が最も多く、それぞれ全体の54.1%(偽・誤情報)、26.7%(生成AI)

など、様々なアンケート結果がまとめられています。

令和6年「情報通信に関する現状報告」(令和6年版情報通信白書)

総務省が毎年公表している、情報通信の現状や政策動向に関する報告書の令和6年版です。

省庁の資料でよく見るようなPDF資料もありますが、分かりやすい表現で説明されたインフォグラフィック版も掲載されています。

学校のネットワークの改善について

GIGAスクール構想の下、一人一台端末の利活用を進めていくためには、十分なネットワーク速度が確保されていることが重要である、ということを踏まえ、以下の事項についてまとめられています。

  • 端末を十分に活用している授業での、ネットワーク速度の実測調査結果
  • 調査結果を元に設定した、当面の推奨帯域
  • 学校のネットワーク改善ガイドブック
  • 「教育DXサービスマップ」への通信分野追加
  • 学校ネットワーク自治体ピッチ

「(参考資料)学校のネットワークの現状について」という資料では、令和5年11月時点で「当面の推奨帯域」を満たす学校の割合が約2割だったことなどが示されています。

※当面の推奨帯域:同時に全ての授業において、多数の児童生徒が高頻度で端末を活用する場合にも、ネットワークを原因とする支障がほぼ生じない水準(通信速度)。学校規模ごとに設定されている。

文科省はこれを受け、今年度末までに必要なネットワーク速度を確保済みの学校を 100%にするという目標を設定しており、同ページにてネットワーク整備・改善のためのガイドブックが公表されています。

自治体ピッチについては次回、紹介予定です。

令和5年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果

文科省が学校におけるICT環境の整備状況や、教員のICT活用指導力を毎年調査しています。

通信速度が1Gbps以上の学校が81%とありますが、この調査はベストエフォート型(最高の条件で出せる速度を表示して契約する)の理論値です。
1つ前の“「当面の推奨帯域」を満たす学校は約2割”というのは、実測値での調査なので条件が異なっています。

青少年のインターネット利用環境実態調査調査票・調査結果等

子ども家庭庁が行っている調査です。青少年とその保護者、また10歳未満の子供と同居する保護者を対象に、インターネットの利用環境を調査しています。

  • インターネットの利用内容は、全年齢を通じて「動画を見る」が最多。
  • スマホの専用・共用の割合は10歳で逆転し、子ども専用の割合が65%を超える。

等の結果が公表されています。

学校施設等に関する調査

建物そのものに関する調査をピックアップしました。学校という場が、平常時も有事の際も安心して快適に過ごせる環境であるために、様々な調査がなされ、改善もされているということがお分かりいただけると思います。

学校施設等における石綿含有保温材等の使用状況調査(特定調査)

20年ほど前に話題になったアスベスト問題が記憶に残っている、という方もいらっしゃるでしょう。保温などの目的で建築物に広く使用されてきたアスベスト(石綿)ですが、空中に飛散した細かい繊維を吸い込むことで健康被害をもたらすため、現在では製造等が禁止されています。

学校施設等の機関において、アスベストを含む保温材等の使用状況を文科省が調査しているという内容です。

公立学校施設における空調冷房)設備の設置状況調査

全国の公立学校施設において、空調(冷房)の設置率の調査結果です。

令和に入ってから普通教室の空調設置率が向上し、平成30年時点では60.2%だったのが昨年時点で99.1%になっているとのことです。

昔と比べ、夏場は外に出ることを躊躇するほど暑くなっていますが、快適な環境の中で子どもたちが学習に取り組める状況であってほしいですね。

公立学校施設の耐震改修状況フォローアップ調査

公立学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす場であり、災害発生時は地域住民の避難所となります。10年前におおむね建物の耐震化等を完了しているそうですが、自治体によっては対策が完了していないとのことで、追加調査が行われています。

構造体の耐震化、屋内運動場(体育館)等の吊り天井の落下防止対策は100%に近づいています。
ただ、屋内運動場の窓ガラス等の耐震点検・対策は道半ばなようです。

学校施設のバリアフリー化に関する実態調査(令和6年度)

小中学校ではバリアフリー化が推進されており、その状況調査も実施されています。

校舎内のバリアフリートイレ設置について、今年度末までの整備目標は94%ですが、昨年度時点での整備状況は74.3%とのことです。

最後に

今回は、2024年~現在の教育関連のトピックから、通信に関する調査と、学校施設に関する調査を確認しました。

次回はカテゴリ分けが難しい調査についてまとめてご紹介するとともに、「調査」「報告」等のキーワードではピックアップしきれなかった必見トピックもご紹介いたします。

前編・中編・後編の3本立てシリーズ、次回までお付き合いください!

投稿者プロフィール

深井明理
深井明理
株式会社ハイパーブレイン 教育DX推進部所属
元中学校教員
正社員として入社後、パートへの勤務変更、海外からのテレワーク、産休・育休取得を経てフルタイム正社員として復帰しました